9月4日、オーストラリアのサンシャインコーストで行われた
アイアンマン70.3世界選手権に参加してきました。
アイアンマン70.3の世界選手権は今回で5度目の出場です。
【~レース前日】
数年前は日本人出場者は数えるほどしかいないときもありましたが、
今回は60名以上がエントリーしており、
日本語での選手説明会も行われました。
英語説明会だけの大会だと、詳細まで理解できずに
経験と勘だけでレースをやっていましたが、
今回はビギナーにも安心です。
というか、世界選手権にビギナーは来ていないですね(笑)「おそらく」は。
というのも、今回は総人数3000人ということで、
今までの2倍の人数の参加です。
予選レースが89カ所で行われたそうです。
運営母体であるWTCが中国企業に買収されたということが原因と聞きましたが
予選レースの乱発で、批判を恐れずに書くなら
「このレベルで世界選手権に出る?」という選手が多いと感じたのは事実です。
で、その日本語説明会ですが、
会場で席に着いたとたんに、睡魔に襲われ爆睡。
結局なんにも聞かずに終わりました。
今回も経験と勘で乗り切ります。
会場のMooloolaba地区周辺は観光地で
多くの人で賑わっていました。
日中は比較的強い風が吹き、波が高くなるため
サーファーなどのマリンスポーツ客も多くいました。
レースの4日前に現地入りしたのですが、
アイアンマンビレッジも既に大盛況。
選手団の国別パレードも行われ、周辺はお祭り状態です。
【レース】
オーストラリアは南半球なので季節は日本と真逆です。
冬から春になる季節ですが、日本人の感覚としては
4月下旬~5月上旬という感じです。
晴れれば最高気温25度近くまで上がりますが
朝晩は寒く海の水は冷たいです。
したがってウェットスーツ着用のスイムとなりました。
波は比較的穏やかで泳ぎやすく感じました。
各年代ごとのウェーブスタートです。
最初にプロがスタートしたのが6時15分。
私のスタートは7時15分です。
コースは左回りに1周回。
大きな部位が200mごとに浮いているので
大きなコースミスもなく泳ぐことができました。
スイムアップからバイクトランジッションエリアまで500mくらい走ります。
3000台のバイクラックですからものすごく広大です。
さらにアイアンマンは佐渡トライアスロンなどの自分のバイクの所で準備するのとは違い、
バイクギアバッグを受け取るエリア⇒着替えなどを行うエリア⇒バイクラックと
それぞれエリアが分かれているのでトランジッションエリアは必然的に広くなります。
バイクコースはほとんどフラットの高速コース。
3車線の高速道路を大胆に封鎖してのレースは爽快です。
体が大きくパワーのある外国人選手は50km/h以上のスピードで
疾走していきます。私はそのスピードにはなかなかついて行けないので
マイペースで走行。それでも45km/h以上で巡航です。
後半に入るとコースは山間部に入ります。
それでも軽微なアップダウンがあるだけで
さほど苦しいわけではありませんでしたが、
途中に1カ所だけ、「激坂」区間がありました。
20%の勾配で1kmくらいのセッションです。
高速コース向けのセッティングの選手が多いので
踏み切れずにバイクを押して走る選手がいる中、
コンパクトクランク+大口径リアメカを付けている私は
その区間だけで300人は追い抜くことができました。
その後、またどんどん抜き返されましたが(笑)
次元の違う外国人選手について行けなかったのですが、
それでも我がバイク君は良い仕事をしてくれました。
チェーンの鳴き音なし、ガリガリ音等も一切なく、
変速はスムーズ、聞こえるのはホイールが回る「コォー」という
静かな音のみ。その点でも気持ちよいライディングができました。
スイムとバイクは無難にまとめました。
問題はランです。
夏に怪我をして以来、ランの練習は一切やらずに
ほぼぶっつけ本番でレースに臨みました。
痛みが出て走れなくなったらリタイアすることも考えていました。
実際に走りだすと、痛みもなく思ったよりも軽快に進めました。
「これは行けるかも」と思ったのもつかの間。
痛みこそ出ないものの、練習不足による筋力不足で
踏ん張りがきかないような状態になり、まったく脚が上がらなくなりました。
2ヶ月近くも走っていなけりゃ当然です。
気持ちだけが前に行くもどかしい状態。
結局、キロ5分以上のジョギングペースでのランになりました。
当初は走り切れれば上出来、という心づもりで出たレースでしたので
目標は充分達成できているのです。
しかし、レースを終えてみると、
故障明けで完走できたうれしさ半分、
自分の本来の力からしたら「こんなもんじゃない」という悔しさ半分の
複雑な気持ちが残りました。
ただ、困難な状況下でのレース運び、
その時に感じる気持ちなど、良い勉強になりましたし、
今後のトレーニングに対する道筋や方針が見えたことは収穫です。
【レース後】
今回の旅はツアー会社を通さず、個人手配で行きましたので
レース後も数日間現地に滞在し、観光をしてきました。
水族館、動物園は広大な土地に日本にはないレイアウトで楽しめました。
観光地なだけあって、食事の面も苦労しないのですが、
毎食レストランだと高く付くので、
スーパーで食材を買い、連日のバーベキューでした。
仲間5人で庭付きシェアハウスを使ったので
宿泊費も食費も安く上がりました。
移動はレンタカー。オーストラリアは日本と同じ
右ハンドル・左車線走行なのですぐに慣れます。
ラウンドアバウト(環状交差点)と、
信号機の表示(赤矢印、黄矢印など)の見方を押さえておけばOKです。
世界選手権に出場する選手は
トライアスロンに対することはもちろんのこと、
日常生活や社会的立場、人間そのものとしての意識が非常に高く
そういう人たちと同じ時間を共有するだけで非常に刺激を受けますし、
勉強になります。
それぞれ個々の価値観を重視し、好きなことを頑張っていますが、
わがままに生きているわけではなく、1本筋が通っています。
私はそんな人たちに仲間と言っていただけることだけで光栄です。
この人達のように私もなりたい。
そんなことを再認識した旅でした。
今年はもう1レースあります。
しばし休息をとったら、もう一度上げていって、
良い気持ちのまま今シーズンを締めくくりたいと思います。