ロードバイクのチェーンは
乗っているうちに、だんだん伸びてきます。
(厳密には伸びるというよりピンの摩耗)
日頃から、チェーンの伸びに注意を払うことが大切です。
チェーンは消耗品。早めに交換
チェーンが伸びるとチェーン自体の強度がなくなり、
断裂が起きたり、
ギアの歯との噛み合わせが悪くなることにより
様々なメカトラブルを引き起こします。
ママチャリと違い、
ロードバイクは強い力をかけて漕ぎますし、
チェーンそのものが細いので、寿命は短いです。
消耗品と考えてこまめに交換しましょう。
交換の時期は伸び率を目安に
では、どのくらいの頻度でチェーンを交換したら良いのでしょう。
早ければ早いほど良いのは当たり前ですが、
実際問題としてどれくらいで交換したら安心なのか。
チェーンの伸びを計測する道具として、
チェーンチェッカーという道具があります。
新品のチェーンと比較して、何%伸びたかのかを計測できます。
いろんなブランドから販売されていますが、
多くが、0.75%と1%の伸びが測れるようになっています。
0.75%の伸びで交換を推奨、
1%の伸びで即交換、
という目安です。
チェーンの基礎知識
チェーンの寸法は規格統一されています。
ピンとピン(ピッチ)の間隔は12.7mm、
ローラー外径は7.8mmです。
これは、シマノもカンパニョーロも同じ、
チェーンのグレードも関係なく同じです。
105もアルテグラも、デュラエースも同じです。
(外幅は変速段数によって違います)
なので、チェーンチェッカーもどこの物を使ってもOKなんです。
シマノのチェーンチェッカーもある
シマノからもチェーンチェッカーが発売されています。
良くあるタイプの伸び率0.75%と1%を測るのではなく、
1パーターンしか測れないタイプで
○か×か、アリかナシかの二者択一のチェーンチェッカーです。
今回、この記事を書くためだけに購入してみました。
SHIMANO(シマノ) TL-CN42 チェーン伸びチェッカー
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計測の詳しい説明書きはなく、
3コマのイラストで使い方が描かれているだけです。
(以前、チェーンの伸び計測はチェーンリングの上側を測る、と
誰かに教わった気がしますが、
この説明イラストを見る限り、指定はなく、
どこでも良いようです。)
使い方はまず、
チェーンチェッカーの右端(①と刻印されている側)を
チェーンのピッチにカチッと差し込みます。
次に左側(②の刻印)をチェーン差し込むようにしますが、
通常は差し込めないようになっています。
この時、チェーンに差し込めてしまったらアウトです。
チェーンが伸びています。交換が必要です。
今回測ったチェーンは左端が差し込めなかったので、
まだ使えそうです。
シマノが交換を推奨する伸び率は?
シマノのチェッカーは○か×かを判定するだけで、
チェーンチェッカーの左端が差し込めた場合、
伸び率何%なのかの印字等はありません。
では実際、このシマノ純正チェーンチェッカーは
何%の伸び率を計測する道具なのかを調べてみましょう。
シマノのチェーンチェッカーは
新品チェーンで131.9mmの部分(11ピッチ弱)を計測します。
↓この部分です。
なので、
チェーンチェッカーの外幅から
伸び率を計算できます。
チェーンチェッカーの外幅を実測します。
133.5mm。
これを新品チェーンの131.9cmから計算した
伸び率と長さの数字と比べてみます。
1ピッチ=12.7mm
ローラー外径=7.8mm
12.7mm×11ピッチ-7.8mm=131.9mm・・・基準値
ん?
ええ?
133.5mmといったら、
伸び率1%を超えてるじゃないですか。
ウソでしょ?
で、悩むこと30秒。
もしやと思い、もう一度チェーンチェッカーをチェーンに差し込んでみました。
↓before
↓after
ははーん、
狭まってますね、幅。
ということで、チェーンに差し込んだ状態で再計測。
133.1mm・・くらいです。
これを上の計算表に当てはめると、
伸び率0.9%くらいです。
チェーンが伸びると、
チェーンチェッカーの外幅が広がりますが、
シマノとしては1%になる前に交換しなさい、
ということですかね。
チェーンチェッカーなんて使う必要ない
さて、ようやく、ここからが本題です。
前述のように、チェーンの長さの規格はみんな同じです。
だとするならば、伸び率なんて計算できますので
チェーンチェッカーなど使わなくても、
ノギスで測ればOKです。
というより、もし、チェーンチェッカーを買おうと思っているなら、
ノギスを買った方が100倍便利です。
チェーンチェッカーはチェーンの伸びを測ることしかできないですが、
ノギスはいろんな用途に使えますからね。
たとえば、
「公称24mm幅のタイヤに空気を入れたとき、
実際は25mmくらいありそうだ・・
そうだ、ノギスで幅を測ってみよう!」
とか
「シマノのチェーンチェッカーは
伸び率の印字がないけど、実際どれくらいなんだろう。
そうだ、ノギスでチェーンチェッカーの幅を測ってみよう!」
とか、もう、ほんと便利です。
ノギスは外幅だけでなく、
内幅も測れるので、
チェーンの伸びも簡単に測ることができます。
このようにして、
上の表に当てはめればOK。
「伸び率0.8%の133mmにさしかかる辺りで交換」とか
マイルールを決めておけば良いのです。
繰り返しになりますが、
ノギスは持っていて損はありません。
シマノ純正チェーンチェッカーより安く買える上、
100倍便利に使えるノギス、
ノギス、ノギス、
ノギスをどうぞよろしくお願いします。
というわけで、前置きが長くて、
本題が少ししかない記事でしたが、
お付き合いいただきありがとうございました。
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“チェーンチェッカー買うくらいならノギスを買うべし。”、全く同感です。
ですが、シマノ純正チェーンチェッカーについて少し気になったので・・・。
構造上でシマノのチェッカーは①の内側から②の外側でチェーン伸びをチェックしているのだと思います。
①の部分でローラーとインナープレートの遊びを②の方向に寄せて、10コマ目のローラーの同じ側を②の外側でチェックする。
この場合チェーン伸び率の限度を0.75%、隣り合うローラー間の隙間をおよそ5.4mmとして①の内側から②の外側までの寸法は概ね127.9mmほどになります。
これは、貴兄のチェーンに差し込んだゲージの測定結133.35mm(ノギス拡大写真から)から隣り合うローラー間の隙間をおよそ5.4mmを差し引いた値と概ね一致します。
チェーンの伸びは何処で起きているのか?
チェーンチェッカーはチェーンの何処を確認しているのか?
そんな疑問からノギスによってチェーン伸びを測定していますが、簡易なチェーンチェッカーの中でシマノのそれは理にかなった確認方法なされているものだと思います。
記事の趣旨から離れてしまいますが“酔狂”なものですから・・・
“酔狂”さん。コメントありがとうございます。
シマノのチェーンチェッカーは、11コマにテンションをかけ、1%の伸びを測るツールで、
酔狂さんのおっしゃるとおりよくできた製品だと思います。
シマノは1%ですが、製品によっては0.75%などの伸びを測定する物も多いですよね。
チェーンの伸びは、「伸び」というより、ローラー内部の摩耗による「緩み」が原因です。
理想を言うなら、1%の伸びに達する前の段階、0.75%とか0.5%とかで交換した方が良いです。
交換時期は人それぞれの基準があるでしょうから、1%の伸び率測定に特化した製品よりも
ノギスで測ったほうが、柔軟な運用ができるかな、という思いで記事にした次第です。
ちょっと前の記事に、コメント失礼します。
私とよく似たことをしている人がいて、嬉しくなりました。
新品チェーンでも「遊び」というものもあります。私の測定した感じでは、新品チェーンで、11コマで、実測132.3ミリ程度ですから、133ミリだと0.52%程度の伸びでしょうか。
で、ここで、チェーンの減り方ですが、チェーンのピンとブッシュの間の摩耗を見るには、十分長く測定するといいですが(実際にはノギスなどの限界で11コマですかね。)、チェーンのブッシュとローラーの摩耗を見るには、1コマで測定するといいと思います。この辺りは、以前、http://blog.gakitama.com/?e=893 に書きました。
なお、
http://blog.gakitama.com/?e=945
に書きましたが、少なくとも、私の場合は、チェーンの伸び(ピンとブッシュの内側の摩耗)より、ブッシュの外側とローラーの内側の摩耗のほうが大きくて、チェーンチェッカーのような測り方ではダメかなあとも思っています。
それぞれの相関関係はあるでしょう。しかし走り方(脚力)、使う油の粘度、油をさす頻度か、どれが影響しているかわかりませんが、ピンとブッシュの内側が早く減る場合と、ブッシュの外側とローラーの内側が速く減る場合もあるように感じています。
カンパニョーロチェーンはシマノとローラーの遊びの量が異なります。具体的にはカンパニョーロの方が遊びが小さいです。そのため、内々で測るタイプのチェッカーでは遊び分が誤差になって寿命でもOKの判定になります。
記事を参考に新品に交換したばかりのシマノ製10Sチェーンをノギスで測定したところ、どこをどんなに慎重に測っても132.5ミリでした。
これだと0.4%は伸びていることになります。個体差だとすれば、とても許容できる値ではないのですが、どう思われますか?
なかむら さん
チェーンのピッチ、ローラーの寸法はJIS規格で定まっているので、どの製品も同じであるはずなのですが・・
私も、気になって、少しググってみたら、実測でJIS規格とちがう寸法だったり、インナーリンクとアウターリンクで寸法が違ったりと
疑問に思ってる方も多いようです。
理由は私にも分かりません。すいません。製造誤差なのか、シマノの謎のこだわりなのか・・・
あと、ローラーとブッシュ、ピンのわずかな隙間(遊び)なども関係してるのかな、とか推測したりしますが、真相はメーカーに問い合わせないと分かりません。
煮え切らない答えですいません。