こんにちは。
10月18日に愛知県常滑市で行われたアイアンマン70.3セントレア知多半島ジャパンに参加しました。
当初は6月開催予定でしたが、新型コロナウィルスの影響で10月に延期されての開催でした。
参加者は1000名弱。
延期の発表がされた後に再募集がかかったためでしょうか、
想像していたよりも多くの選手が参加しました。
前日まで
今回はコロナ対策として、
通常のレースとは違う運営体制で
レース時のルールも特別でした。
レース時以外はマスク着用が義務づけられ、
会場入り口は一カ所に統一され、度々検温が行われました。
レースが行われる新舞子マリンパークには
関係者と一部の地元漁業者のみが立ち入ることができ、
家族等の応援もご遠慮願うという徹底ぶりでした。
(実際は応援の人もたくさん入ってきましたが)
エキスポや、パーティはなく、
前日のチェックインも可能な限り簡素化されていました。
また、トラジッションエリアも更衣テントなどはなく、
ギアバッグも1枚のみ。
各地のローカルレースのように各自のバイクラックに
ギア類を配置するやり方でした。
バイクチェックインは通常のアイアンマン方式で、前日預託です。
前日は冷たい雨が降り続く天気でしたので、
コンビニで買ったゴミ袋でぐるぐる巻きにしておきました。
100円ショップなどに行けば、自転車専用のカバーも売っていますが、
今回は、ゴミ袋を使いました。
バイクを雨ざらしにしておく人と、私のようにカバーを掛ける人は
だいたい半々くらいでした。
レース当日
スイム
スイムは900mを行って帰ってくる往復コースです。
新舞子マリンパークは入り江になっており、
潮の流れが強めで、往路は進まず、復路はスイスイ泳げました。
水温は21度で、ウェットスーツ着れば冷たくありません。
10名ずつのローリングスタートで混雑せず、
ストレスなく泳げました。
スイムを上がると、約500m先のバイクラックまで堤防道路を走ります。
バイク
バイクは約13kmを7週回するコースです。
この大会は、当初は山間部や農道などを使い、
広範囲を走るバイクコースでしたが(2009年~2010年頃)
その後は工業団地など利用した周回コースになっていました。
そして、今年は、コロナ対策で、
いつもよりも更に小さい周回コースを7周するというものです。
13kmの中に約1000人が走るわけですから、
かなりの混雑となります。
以前参加したときに、混雑からコーナー手前は大渋滞となり、
否応なしに減速しなくてはならず、
ストレスが溜まりまくった記憶があります。
今回はスイムがローリングスタートということで、
私は比較的早い時間帯でのスタートでしたので、
まだ大半の選手がスイムをやっているうちにバイクに移れました。
コースが空いているうちに、距離を稼いでおきたいので
少しだけペースを上げ気味に走りました。
おそらく終盤はスピード出せない区間が多いだろう、と思って。
案の定、4周回目あたりになると、ほとんどの選手がバイクに移り、
コースはかなり混雑しました。
遅い選手の列を早い選手が右側から追い抜きつつ走る構図となります。
例えるなら高速道路の走行車線と追い越し車線のような、
2列平行で選手の列ができるような箇所が多かったです。
そんな中、落車事故が起こりました。
バイクコースのほとんどは4m以上ある車道を使った対面通行ですが、
一部で、幅2m程度まで狭くなる対面箇所があります。
バイクコースの最果ての折り返し手前1kmくらいの道路です。
反対車線にはみ出た選手と対向車線から来た選手が正面衝突し、
さらに近くにいた選手を巻き込んでの集団落車でした。
私が走っている200mくらい前で置きた事故でした。
「落車ー!!」
「停まってー!!」
などの叫び声が聞こえたため、手前で減速し、
ゆっくりとその現場を通り越して、50mくらい行った所で停まりました。
落車した人の1人うから「痛い、痛い」という声が聞こえました。
ぐったりしている選手もいました。
即座に、マーシャルからレッドフラッグが振られました。
競技中断の合図です。
「選手の中にドクターはいますか?」
「AED持ってきて」
などの声が聞こえます。
運良く、選手の中に数人のドクターがいて、
心臓マッサージなどが始まったのを見ました。
どうやら心肺停止で、深刻な状態のようでした。
往路、復路ともに通行止めとなり、
1000人近い選手がその場で1時間ほど待機することとなりました。
救急車3台、レスキュー車、警察車両がやってきて、
辺りは騒然としています。
もう、レースどころではない感じでした。
ただ、レッドフラッグが出た、その状況で、
走りだす選手もいました。
皆が停車している状況下で走れば距離を稼げると思ったのかどうかは分かりません。
現場を尻目に、メイン会場に向かって走りだす選手を見ながら
やるせない気持ちになりました。
秋風が吹く中、じっとしていたため体が冷え、
凄惨な現場を見たために、メンタルもだだ下がりでした。
他の選手も同じような感じでしたので、
このまま大会中止でもいいかな、と思ってましたが、
「バイク競技のみ中断、メイン会場に戻った後にラン競技は行う」という発表がありました。
ラン
ゆっくりとバイクを走らせ、トラジッションエリアに戻り、
ランの準備をします。
ランスタートラインを通過したところから計測が始まるので、
ゆっくりと準備をして、自分のタイミングでスタートすることが可能です。
バイク中断時間が長かったとは言え、
50km以上を頑張って走ったあとでしたので、
なるべく脚を休ませるために、
最後尾に近い位置からスタートしました。
中にはバイクをまだほとんど走っていない選手も多く、
トライアスロン大会とは思えないほどのハイペースなランでした。
私は、ランが得意ですが、
それは、バイクで脚を使ったあとに走ったら
他の選手よりも少しだけ速く走れるというだけです。
つまり、「トライアスロンのランが得意」なのであって、
普通のマラソン大会ではまるで通用しません。
フレッシュな状態で走っても、バイクのあとに走っても、
さほど変わらないタイムで走れるのが強みです。
今回のランパートは、他の選手は皆ペースが速く、
自分の強みが生かせませんでした。
1時間28分というランラップは、
トライアスロンなら上出来ですが、
ハーフマラソンとしては平凡でした。
レース後
ランを終えてフィニッシュすると、
完走メダルとTシャツもらって、
「立ち止まらずに早く移動して」という雰囲気がバンバン伝わってきましたので、
スポーツドリンク1本だけもらってそそくさと退散しました。
バイクピックアップもOKだったので、
荷物を片付けて、会場をあとにしました。
バイクが中止になったことで、
順位が付けられず、表彰式も中止になったそうです。
レース後、本部からメールが届き、
「順位と世界選手権スロットは後日通知する」との事でした。
私個人の意見を言えば、
バイクにほとんど乗っていない選手もいれば、
スタート時間の早かった選手は、ほぼほぼバイクパート終了間近の人もいて、
疲労度が違うという不平等な状況でしたので、
ランの順位を出すべきではないと思います。
今回の大会は「記録なし」とした方が無難だと思います。
順位出しても、出さなくても、文句を言う人はいると思いますが、
同じ文句を言われるなら、記録なしのほうが良いでしょう。
この辺の決定については、正式発表を待ちたいと思います。
なんにせよ、
後味の悪い大会となりました。
貴重な経験だったといえば、確かにそうなんですが、
もう二度と味わいたくないですね。
事故に関しては、選手の瑕疵、運営側の瑕疵、
様々な状況が絡み合って起きたことでしょう。
ただ、教訓として、
私たち、トライアスリートの誰しもが、このような事故に遭遇する可能性はあるものとして、
気を引き締めて競技を続けたいと思います。
普段の練習も含めて、です。
周囲の安全確認、声かけをきちんとやるべきと再確認しました。
この大会は、今では日本で唯一のアイアンマンレースです。
世界中でもっとも有名で伝統のある「IRONMAN」での事故は
トライアスリートや関係者にとってとてもショッキングな出来事です。
今回のことで、日本のトライアスロン界が萎縮して
レースを開催できないなんてことにならないよう祈るばかりです。
追記2020-10-22
リザルトが発表されました。
https://ironman703.jp/result/
全選手のタイムと、世界選手権の出場者選考用のリザルトです。
総合順位、各エイジの順位は後日だそうです。
途中で中止となったバイクのタイムは、
中止になった時点で、各エイジ最も大勢の人が終えていた周回数のタイムを採用するようです。
例えば、私が該当する、男子45-49カテゴリだと2周回終えた選手が最も大勢だったため、
バイク2周分のタイムを採用、
女子30-34カテゴリは1周も終えていない選手が最も多かったため
バイクタイムは除外する、といった方法です。
落とし所としては無難な方法かと思いますが、
それでも、同エイジでも私のように4周回走った選手もおり、その分疲労しているため、
ランで不平等が生じるという点では少し複雑な気持ちも残る・・・というのが正直な気持ちです。
今回は以上です!
はちゃの!