こんにちは。
先日に続いて、目標設定の話をもう少しだけ。
[関連記事]
→【謹賀新年】失敗しない!確実にレベルアップできる目標の立て方とは【ダイエット・スポーツ・勉強】
世の中に出回っている自己啓発本、
また、自己啓発セミナーの先生方、
はたまた、会社のシャチョーさんなどは、
●大きく、明確な目標を設定せよ!
●期限を定めよ!
●紙に書いて壁に貼れ!毎朝声に出して読め!
●周囲に宣言せよ!
こんな感じのこと言いますよね。
私も、かつては、
これを実践していたこともありました。
しかし、1年の始まりに設定した目標を貫徹できたことは一度もありません。
なので、最近では、年間目標をあまり大きくせず、
曖昧かつ、マイルドな目標にとどめています。
それよりも毎日の小さな積み重ねを重視し、
「結果は自ずと付いてくる」マインドでやっています。
大きな目標を達成できない心理的メカニズム
大きな目標を立てると、
時間を逆算して、そして期間をいくつかにぶつ切りに分け、
「いついつまでには最低ここまで達成していないと」
のような、時間的関門を同時に設定してしまいがちです。
例えば、8月までに10kg痩せるという目標を立てたとして、
毎月1.2kgちょいの減量をしていけば達成できる計算です。
最初は、やれ食事改善だ、やれ運動だといって、
張り切ったとしても、
今までの生活習慣を急に変えられず、
2月になっても体重は減らず、
計画の遅れを取り戻そうと、
「2月は2.5kg減らす!」と意気込んでみるものの
できるはずもなく、しだいに心が折れ、
最終的には、目標を立てたことすら忘れてしまう。
毎年この繰り返し・・・
学習性無力感
何度やっても失敗してしまう。
これを繰り返していくと、
「どうせ何やっても無駄だ・・」という諦めの気持ちが強くなります。
これを「学習性無力感」といいます。
毎年、目標設定→失敗を繰り返している人は
この学習性無力感に陥ってしまいます。
どうにでもなれ効果
ダイエット中に、例えば、
誘惑に負けて、あるいは人に勧められて
お菓子を食べてしまったとします。
すると、心の中で、
「今日はもういいや」となって、
バクバク食べてしまうなんて経験ありませんか?
そこでやめとけば傷は浅いのに、
リミッターが外れてしまうような。
これは「どうにでもなれ効果」と言われ、
ダイエット、お金使い、お酒、などにも起こります。
「ダイエットは明日から」というフレーズはよく耳にしますが
これは、どうにでもなれ効果を象徴する言葉です。
[参考]
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0195666310004630?via%3Dihub
(トロント大学2010年)
目標倒れを防ぐ
学習性無力感回避策
学習性無力感は、失敗の連続が原因です。
だとすれば、これを防ぐためには成功体験をすれば良いのです。
成功体験は小さな物でかまいません。
短期間で達成できる、小さな目標を立てましょう。
学習性無力感は人間以外の動物でも確認されており、
犬を使った実験では
100%達成できず、「失敗することもあるが成功することもある」という状況でも
学習性無力感は発生しませんでした。
(セリグマン、メイヤー 1967)
このことから、年間目標を重視するのではなく、
短期目標を重視し、
さらに、その短期目標は達成できそうなユルい目標にし、
100%達成できなくてもOKだ、というくらいの気持ちを持つ事が大切です。
どうにでもなれ効果の回避策
禁止目標を設定しない
「甘い物を食べない」
ではなく、
「甘い物の代わりに少しのナッツならOK」
というような肯定目標を立てると良いでしょう。
また、
甘い物を食べなかった日、つまり目標達成した日を
スケジュール帳などに記録しておき、
成功日を見える化するのも良い方法です。
「明日は今日の繰り返し」という思考が大事
人間は、「同じ事を繰り返す」動物です。
生命を守るための本能的な行動です。
野生では冒険や逸脱、変化は死の危険が高まりますから。
「繰り返しの思考」が本能である以上、
放っておけば、人は明日も今日と同じ行動を取りたがります。
つまり、
堕落した生活を送っている人は明日も堕落した1日になる確率が非常に高く、
摂生した生活をしている人は明日もおなじような日になるでしょう。
このことからも、
太っている人が「1年後にスリムな体型になっていたい」
と目標を立てても
浪費癖のある人が「1年で100万円貯金したい」
と願っても、
本能が邪魔します。
結果にフォーカスするよりもまず、
毎日同じ事をコツコツ繰り返して行くという意識が大切で、
少しずつ習慣を変えていく必要があります。
なぜなら、前述のように、人間は本能的に変化を嫌いますので、
急激に生活を変化させると、
脳は元のレールに引き戻そうとするからです。
脳に勘付かれない、誤差レベルの変化を毎日続けるのです。
「毎日スクワット3回」とかからでもOKです。
1ヶ月たったら腕立て伏せ2回をプラスしてみる、とか、
そのくらいスローペースでOKです。
こんな些細なことでも習慣化できれば、
正月だけで終わる3日坊主の目標よりも100倍良いですから。
[関連記事]
→【ダイエット・スポーツ・勉強】高いモチベーションなんていらない。必要なのは○○だけ。
過大目標を立てるのは自己低迷期の表れ
デューク大学の2011年の研究では、
「体力のない企業ほど、大きな目標を立てる」
ということが分かったそうです。
内部へ奮起を促すためか、
外部への強さをアピールするためか、
身の丈に合わない大きな目標を掲げる傾向にあるということです。
また、ハーバードビジネススクールも
大きすぎる目標は、失敗の元、利益を損なう、モチベーションを損なうと論じています。
[参考]
http://www.hbs.edu/faculty/Publication%20Files/09-083.pdf
これはもしかしたら、個人にも当てはまるかもしれません。
スポーツでも勉強でも、ダイエットでも、
現状が順風満帆な人は、
さほど冒険的な目標を立てる必要はありません。
今まで通り、コツコツ積み上げれば良いだけです。
対して、現状が思うように運んでいない人は
大きな課題を自分に課してしまうような気がします。
もしも、あなたが、身の丈に合わないような大きな目標を立てているとしたら、
もしかしたら、それは、今がうまくいっていないことによる
イライラの表れかもしれませんよ。
まとめ
●年間目標は大きすぎず、ユルくマイルドに設定する。
●高すぎる目標は失敗の元。
●失敗が続くと学習性無力感が生じ、やる気がなくなる。
●人は変化を嫌う生き物。平穏な毎日を好む。
●誤差レベルの変化をコツコツ続けることが大事。
●人は低迷期に限って大きな目標を立てがち。
最後に
いかがだったでしょうか。
心理学者のオーブリー・ダニエルズさんによれば、
大きすぎる目標を設定をした場合90%以上が達成できずに終わるそうです。
また、失敗のリスクが非常に高いばかりか、
学習性無力感などでますます自信をなくし、逆効果でもあります。
そう考えると、多くの自己啓発本が
なんと無責任なことを言っていることでしょうか。
目標を立てるのは悪いことではありません。
1ヶ月とか、3ヶ月とか、短期間の目標達成の積み重ねとしての
長期目標をたてることが大切なのです。
今日もお越しいただきありがとうございます。
「今年はなるべく手書きで文字を書く」という目標を立てました。