サイクリストにはおなじみになりつつある
ナカガワエンドワッシャー。

ロードバイクのフォークのエンドの空白部分を埋めて、
ハブを均一に締め込むことができるようになるというパーツです。
雑誌などで紹介されたことから評判が広がり、
通販サイトでは品薄状態が続いているようです。

当初、私も非常に興味が湧きましたが、
今のところ使用するに至っておりません。
なかなか思い切れない理由はいくつかあります。
 

本当にハブが3度もたわむのか

[ナカガワサイクルワークスのサイトより抜粋]
ハブのクイックリリースを締め付けると、ハブ軸が3度近くたわむことが、あるメーカーのテストにおいて分かっています。その大きな原因は、フォークやフレームのエンド部分に隙間があるため、ハブ軸全周を均一な圧力で締め付けられないからです。ハブ軸がたわむことにより、ハブの回転に悪影響を与えていました。そこで、このワッシャーは、写真1のように、ワッシャーの突起部が、その間隙を埋め、ハブ軸全周を均一な圧力で締め付けることができます。すでに特許を取得し、試作品で効果の検証も終わっています。また、ワッシャーは、QPQ加工と言われる表面処理を行い、錆びにくくなっています。
[抜粋終わり] 

 
私がまず気になったのは、
エンドの爪の隙間がハブ軸を3度たわませるという記述です。
3度ってかなりのたわみです。
本当にそれほどたわめば、当然、回転に悪影響を及ぼすでしょう。
というか、正常に回転しないと思います。
タイヤを持ち上げて空転させた場合、グワングワンに振れると思うのです。
 
「あるメーカーのテストにおいて分かっています」
という部分。
どのメーカーのどんなテストなのかが非常に気になります。
もしも本当にそれほどたわむのであれば、
自転車メーカーやハブのメーカーが対策してきそうですが。
 

ぴったりサイズが合ってこその性能

ナカガワエンドワッシャーは特許取得品です。
なので、特許公報などの資料を閲覧することができます。
 
[特許情報プラットフォーム]
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage
 
ここでナカガワエンドワッシャーを検索してみました。

[特許情報プラットフォームから抜粋]
【特許番号】特許第5948717号(P5948717)
【登録日】平成28年6月17日(2016.6.17)
【発行日】平成28年7月6日(2016.7.6)
【発明の名称】ワッシャとそれを装着した自転車用フレームとそれらを備えた自転車
【要約】
【課題】安価な部品でハブ軸に生ずる撓みを解消することができ、しかも、どのような種類のハブ軸を装着しても、均等にハブ軸の撓みを解消することのできる新たなワッシャとそのワッシャを備えた自転車用フレームとそれらを備えた自転車を提供することを課題とする。
【解決手段】自転車のフレームエンドのU字状溝にハブ軸を嵌めこんだ状態で前記ハブ軸を前記フレームエンドに固定するときに、前記フレームエンドに重ね合わせるワッシャに前記U字状溝に嵌め込まれたハブ軸と該U字状溝との間の隙間を埋める突起部を設け、該突起部の厚みを前記フレームエンドの厚みと同じ厚さに設定する。これにより、ナット等でハブ軸をフレームエンドに締め付ける際に、ハブ軸に均等に圧力を加えることができるから、ハブ軸の撓みを解消して、車輪の回転性能を改善することができる。
【選択図】図1


[抜粋終わり]
 
これ、理屈は凄くよく分かるし共感します。
ハブを装着する際にこれは理想です。

しかし、これは
あくまでエンドの爪の厚みと、エンドワッシャーの厚みが
ドンピシャで一致していることを前提としています。
エンドワッシャー(図の32の箇所)がわずかでもエンドの幅(図の11の箇所)よりも
厚かったら特許の性能を発揮出来ないばかりか、
むしろハブの固定力が下がり、危険な状態となります。
 
では、どうするかというと、
エンド幅よりもやや薄いサイズを選択するわけです。
「ナカガワエンドワッシャー サイズ 選び方」
などで検索すると多数ヒットしますが、
「ぴったり一致が理想だけど、一致しない場合は実際のエンド幅よりも少し薄いサイズのワッシャーを選びましょう」となってます。
エンド幅が6.1mmなら6mmのワッシャーを選びます。
0.1mmの差なら・・・まぁ、なんとか締め付けたときにワッシャーがハブに触るかもしれませんが、
たとえば、エンド幅が6.8mmだったとして、
この時、選択すべきワッシャーサイズは6mmです。
7mmは絶対ダメということはお分かりでしょう。
しかし、これ、6mmサイズでもダメなんですよね。
 
今一度、特許文書を確認してみましょう。
「突起部の厚みを前記フレームエンドの厚みと同じ厚さに設定する。これにより、ナット等でハブ軸をフレームエンドに締め付ける際に、ハブ軸に均等に圧力を加えることができるから、ハブ軸の撓みを解消して、車輪の回転性能を改善することができる。」
と記載されています。
 
エンドとワッシャーの厚みがぴったり一致してこその性能で、
ぴったり一致した場合の性能についての特許なんですね。
 
つまり、エンド厚よりも薄いワッシャーを取り付けた際には、
単に、取り付けが可能であった、というだけであって
特許に謳う性能は期待できないということです。

↓理想の形。エンドとワッシャーがツライチでハブに接している状態↓

 
↓装着はできているが、特許性能は発揮できない状態↓
ただ、クイックレバーとエンドの間に平ワッシャー噛ませたのと同じです。

 
↓問題外。このような装着は危険↓

 

サイズがぴったり合うのはレアケース

このエンドワッシャーを購入しようと思ったら、
まず、エンドの幅をノギスで測ります。


 
で、測ってみると分かると思いますが、
左右がぴったり同じ幅というのはあまりないと思います。
今までの使用ですり減ったりしていますし、
そもそも、ロードバイクはそこまで厳密に左右対称に作られていない気がします。
私のサーベロを測ってみました。
デジタルノギスではないのでコンマ1ミリまでの数字は分からないのですが、
アナログメモリの読みで、左が7.2mmくらいでしょうか。
エンド幅 サーベロ 右
 
右が7.6か7.7mmくらい。

 
シーポはどうでしょうか。


 
左が7.5か7.6mm

 
右が7.8か7.9mm

サーベロもシーポも、左右で数値が違います。
これ、私のバイクだけでなく、
ほとんどのバイクがこんな感じだと想像します。
そして、これが左右ともジャスト6.0mmとか7.0mmになるなんて
かなりのレアケースでしょう。
 
サーベロもシーポも、もしエンドワッシャーを付けるとするならば
7mmのものを使うことになりますが、
前述の通り、特許に謳う性能は期待できません。
シーポの右なんて0.8~0.9mmの隙間ができるわけですから何の意味もないでしょう。
 

人によって体感する効果がまちまち

ナカガワエンドワッシャーを使用する人の多くは
実際のエンド幅とツライチではなく、
やや薄めのワッシャーを使用しているでしょう。
ネットで、いろんな方のインプレ記事を見てみると、
「小さめサイズでも効果を実感できた」
「剛性を感じた」
とする意見も多いです。
実際そう感じるのかもしれません。
しかし、確実に言えるのは、
その人が感じた「良い」は特許技術を体感したからではありません。
別の何かを体感して「良い」と感じているに過ぎません。
  
一方、違いが感じられなかったという意見も見られました。
 
[cbn bike product review から抜粋]
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=15299&forum=27
<レビュー1>
・・・・・・・・・リヤ側よりはフロント側の剛性感が上がった結果により起こる感触の変化があります。
スチールフレームの場合、取り付け前後で明確に剛性感の差を感じました。特にダンシング時やスプリント時には顕著で、フレームの反応がよくなった感触があります。ダウンヒルのカーブでも安定感が上がります。
また、エンドのガタで消されていた細かな感触が伝わるようになります。いわゆる「ロードインフォメーションが伝わりやすい」状態になったと思います。
次に、カーボンフレームの場合。こちらは正直、大きな差を感じませんでした。気持ち、フロントの剛性感が上がったかな?と言う程度。
・・・・・・本製品、「スチールフレームには効果が高いけれど、カーボンフレームには効果が薄いのでは?」と私は思っています。
本製品は、フレームエンドの切り欠けを埋めることで、「ハブ軸に均一に圧力をかける」ための製品です。そして、均一に圧力をかけようと思うと、切り欠けを埋める突起の厚みと材質はフレーム側と同一で無ければいけません(正確には塗装の厚みとかも考慮しなければならない)。

<レビュー2>
・・・・・・目一杯の加速、下りなど速度が上がるようなシチュエーションでは路面を掴む感覚が向上したように感じた。
特に下り、40km以上では明確にグリップ感が向上したように感じた。
そのおかげで下り旋回時のライン変更などもしやすくなったように思う。
・・・・・・本製品は切り欠きを埋める部分からハブ構成部品までの厚みを調整する機構は備わっておらず、ほとんどのカーボンフレームにとっては実質ただの平ワッシャーを付けているのと同じであるように思う。
ではなぜ感覚に変化を感じたか。
一つはホイール支持を構成する部品の一部の材質がより硬い物になったため。
もう一つはハブ構成部品には均一に面圧はかかっていないが、クイックのエンド外側になる部分(レバーとナット)にかかる面圧の変化があるため。
特に後者の理由による感覚の変化が大きいのではと思う。
[抜粋終わり]

 
レビュー1、2共に何らかの効果は感じているようですが、
内容は若干ちがい、
レビュー1では、カーボンフレームでは効果を感じず、
スチールフレームで効果を感じたとあります。
その理由は、エンドワッシャーとフレーム(エンド)の材質が同じでなければ
ハブに均一に圧がかからないためと推測しているようです。

一方、レビュー2ではカーボンフレームでも体感したということです。
エンド部分のカーボンフレームのエンドの弱さを
硬い鉄製であるエンドワッシャーが補完していることを理由の1つに上げています。
 

平ワッシャーに1万円を払えるか

ナカガワエンドワッシャーが特許を取得した性能を享受するには
それこそ特注で、左右のエンド幅にそれぞれぴったりのものを
作成してもらうしかありません。
それが可能であれば、ワンセット10,800円(2018-10-17現在)を
躊躇なく支払います。
所有する5台すべてのバイクの分を作成してもらうでしょう。

しかし、ツライチにならない限り、
それは平ワッシャーでしかありません。
それなら、まず、近所の鉄工所などで鉄製の2mm厚程度のワッシャーを作ってもらい、
試してみるのも1つの方法でしょう。
おそらく、10,000円はしないはずです。

今後に期待

こんな記事がありました。
[Nakagawa cycleworks ナカガワワッシャ改]
https://ameblo.jp/fsharp-korin/entry-12222303853.html

ワッシャーの厚みとエンドの幅をそろえる対策として、
アジャスター機能付きの製品を開発中とのことです。
ただ、これは、隙間をイモネジで押さえるだけの製品です。
面ではなくて点で押さえることによる、ハブへの影響が心配です。
もう少し改良の余地があるのではないでしょうか。
 
↓こんなの作ってくれたらいいな。可変式。

 
こんな感じで、隙間を補正してくれる製品が出たら
購入してみようと思います。
なので今はまだ、私はナカガワエンドワッシャーを使わないのです。
 
そうこうしているうちに、スルーアクスル全盛になって
こんなパーツも必要なくなるんだろうなぁ・・・
 

今回は以上です!

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