暴風吹き荒れる中、半ば強行開催されたアイアンマン台湾。
スイムを無事終了し、バイクスタートです。
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バイク
日本なら大会中止レベルの暴風
この日の澎湖はものすごい風が吹いていました。
この暴風が、この時、韓国付近に進んでいた台風25号の吹き返しによるものなのか、
それとも、澎湖で日常的に吹く海風(島風)なのかは分かりません。
ただ、メイン会場の大会テントはがっちりと地面に固定されており、
風で飛ばされることのないように設置されていたのを見ると、
現地では想定の範囲内の風だったのかもしれません。
しかし、おそらく、台風といっても良いくらいの暴風です。
日本であれば大会中止となるレベルの風でした。
事前通達により、ディスクホイールは使用禁止。
まぁ、私はディスクは使わないので関係ありません。
使用した機材
今回使用した機材は
バイク:サーヴェロ(cervelo) P5
ホイール:ロヴァール(Roval) CLX50チューブラー
タイヤ:コンチネンタル コンペティション25mm
ヘルメット:カスコ(CASCO)SPEEDairo RS
シューズ:シマノ SH-TR5
です。
TTバイク&ディープリムホイールは横風には弱いものの、
向かい風や斜め方向からの風では
ロードバイクとは比べものにならないくらいの巡航性があります。
今回のバイクパートはTTバイクと普通のロードバイクの差がはっきり出たと思います。
ロードバイク勢はかなり苦戦していました。
見るからに進んでいませんでした。
北東からの強風
台風は日本と韓国の方向へ進んでいましたが、
そちらの方向、つまり北東からの強風が吹き荒れていました。
一番の難所は跨海大橋から折り返しのCポイントの間です。
図のように風は北東から吹いてきます。
跨海大橋からC地点に向かう時は追い風です。
橋の上ではペダルをほとんど回さなくても時速50kmでます。
加速すれば65kmくらいまでは簡単に上げられます。
しかし、時折、風向きが微妙に変わり、
そのたびにホイールがあおられるので、
しっかりハンドルを握っていないと危険でした。
そして、問題は、C地点で折り返した後の復路なんですが、
これが、どんなに一生懸命こいでも時速20kmがやっとです。
あまり頑張りすぎると体力を消耗するので、15kmくらいで流す感じでした。
ポジションはなるべく低くしたいのでDHバーを握りたいのですが、
危なくて握れない箇所もあり、歯がゆい区間です。
跨海大橋からC地点以外では、
追い風、向かい風、というよりは、
終始横風にあおられていたという感想です。
風速がめまぐるしく変わるのでDHポジションでの走行は
非常に気をつかいました。
軽い女性や、深すぎのディープリムの人など、
転倒者が続出し、救急車の音が途絶えることなく聞こえていました。
だが、ロケーションは最高
風が強すぎて、景色を楽しむ余裕はあまりなかったのですが、
澎湖諸島は風光明媚な場所で、絶景ポイントがたくさんあります。
本来であれば、走っていてとても気持ちいいコースなのです。
さらに、路面の舗装状態も良く、
ひび割れのないアスファルトは日本でもなかなかないくらい綺麗な道でした。
起伏もあまりありません。
なので、風さえなければ、このコースはかなりのスピードコースでしょう。
かなり消耗した180km
バイクスタート当初から風が強いのは分かっていましたので、
無理せず小ギアをクルクル回すように心がけて走りました。
バイクで消耗しすぎて、ランで走れなくなるのが
私の悪い癖です。
ランで走れなくなると、もう、レースが全然楽しくないんですよね。
辛いだけ。苦行です。
やっぱり、レースは楽しんでなんぼなので、
このバイクパートは抑えていって、ランで爆走しようと思っていました。
が、しかし、やはり、終盤はかなり脚に来ていました。
経験したことのないようなコンディションのレースですので
目論見が甘かったようです。
でも、このスピードの上がらない状況で、
6時間を切ってバイクを終えることができたのでOKとしておきます。
コースミスする人、続出
これは、台湾だからということではなく、
ロングのレースともなれば、「あるある」なんですが、
バイクコース上の交差点には係員が配置されています。
幹線道路など大きい道路には警察官などが立ち、
きっちりと交通整理をしてくれるのですが、
少し郊外に行くと、ボランティアの学生さんだったり、
地元のおじちゃん・おばちゃんが立っていたりします。
で、その人たちも慣れていないし、
中にはスマホいじってる人なんかもいて、
選手側がちゃんと意識していないと、
コースミスしてしまうことがあります。
今回も私の周りだけでも数名がコースミスしました。
曲がるべき箇所を直進してしまうなど、
ほんとにうっかりミスなんですが、
間違ったコースに進入しても、係員が引き留めてくれないことも多いです。
これはもう、仕方ないことだと思って、
自分で気をつけて走る以外にありません。
私はコースミスはしませんでしたが、
ちょっと不安な箇所はいくつかありました。
80kmを2周回したあとにT2に向かうのですが、
周回コースとバイクフィニッシュへ向かう分岐が少し分かりづらかったのと、
分岐後、フィニッシュまでの約20kmは農道のような狭い道が続きます。
前後に選手がおらず単独走だったので
「本当にこの道で合っているのだろうか」
と、めちゃくちゃ不安になりました。
大丈夫でしたけど。
ラン
前半は強風つづく
10kmを4周回のランコース。
ホテル周辺と漁港を走ります。
私がランに移ったのは午後1時半ころ。
この頃になると、少しずつ風が弱くなってきたように感じました。
しかし、海沿いのコースは時折吹く突風でふらつくこともありました。
バイクではかなり抑えめに行ったつもりでしたが、
脚がかなりやられていました。
目標は4分50秒/kmペースだったが
当初設定していた目標ペースは1kmを4分50秒で走るペースです。
エイドステーションで減速することを加味すると
実質5分/kmのペースになります。
5分で走ることができれば42kmを3時間半で終えます。
しかし、序盤の数キロを4分50秒前後で走ってみましたが、
感覚的に、このペースで走るのは無理と思いました。
股関節のコマネチのライン辺りがかなり張っていて、
少し痛みを感じたからです。
腸腰筋が疲労していたのかもしれません。
ペースを5分/kmに落とし、
その分、エイドステーションではなるべく時間ロスをしないように心がけ走りました。
塩分補給の不安なし
ありがたかったのは、エイドステーションの多さと、その内容です。
約3kmごとにエイドステーションが設置されてました。
ジェルやバナナ、コーラにスポーツドリンクなどの定番品はもちろん、
塩(ノーマルと梅塩)が用意してあったのが嬉しかったです。
日本のレースでは梅干しなどが用意してあるレースが多いのですが、
海外のレースは、塩分補給のことを考えてくれないレースも多いのです。
スポーツドリンクや塩タブレットなどのサプリでは限界があります。
日本人は「練り梅」という伝家の宝刀があるのですが、
外国人選手はどうやって塩分補給してるんだろうと思っていました。
今回も、私は練り梅を持参していたのですが、
必要ないくらい、エイドステーションに「塩」が準備してあって嬉しかったです。
私にとっては、塩とバナナとコーラがあればそれで充分です。
おかげさまで、バイクも含めて、今回のレースでは
最後まで足がつることなく走ることができました。
3周目で大失速
5分前後のペースで走ることを心がけていましたが、
3週目に入る頃からコマネチラインの痛みが増し、
かなり失速してしまいました。
6分/kmくらいまで落ちてしまいました。
こうなると気持ち的にもかなり厳しくなります。
心が折れる一歩手前まで来ていました。
しかし、このタイミングで、仲間の湯木さんとすれ違いました。
続いて、グッドウィルツアーで一緒の面々や、
現地で知り合った選手たちとも立て続けにすれ違いました。
ここで、私はすれ違う皆さんを大声で応援します。
これ、私がよくやることで
人を応援しているように見せかけ、実は自分を奮い立たせる作戦、なのです。
人を応援すると、なにか自分にもパワーが湧いてくるし、
何より、応援しておいて自分が潰れるとか、かっこ悪いので
自ずとがんばれるのです。
知り合いを応援し、さらに、
知り合いでも何でも無い外国人選手を追い抜きざまに応援したりします。
めちゃくちゃうざいやつだと思われるかもしれません。
一時は大失速してしまいましたが、
なんとか少しだけ持ち直しました。
それでも5分15秒/kmです。
無心の4周目
ランで一番辛いのは中間の周回です。
ここを乗り切って最終ラップに入ると、あとはゴールに向かうだけ。
体は疲れていますが精神的には楽になります。
ここまで来たらとにかく走るだけ。
とにかく無心で走ります。
前を走る選手は追い抜こうと決め、ペースを上げました。
残り3km辺りで、フィニッシュエリアの横を一旦通過します。
もうすぐ終わる、という嬉しさと、
体の痛みと、辛さが混ざった変な気持ちです。
言葉にはなかなか表せない気持ちなのですが、
トライアスリートの皆さんなら、ゴール数キロ前のこの気持ち、わかるでしょう?
残り1kmの直線道路で、後ろから来た外国人選手に尻をポンとたたかれました。
この選手もラストラップで、英語で、
「あとちょっとだぞ!もっとペース上げろ!勝負だ!付いてこい!」
などとを言っていました。
売られた勝負は、買わないわけにはいきません。
ラスト1kmのスプリント勝負です。
おそらく3分台後半/km出ていたと思いますが、
心臓破裂するんじゃないかと言うくらい辛いスプリントでした。
途中、もう1人を巻き込んで3人の全力疾走。
異様な雰囲気に周辺の選手も道を空けてくれました。
最後の100m、周回コースとフィニッシュゲートとの分岐。
ここで少しコースが狭くなります。
そこに上手く先頭で入り込むことができました。
↓分岐で後ろの2人に差を付けた瞬間
ここで追い抜くことは難しいので、
「勝った!」と確信。
そのまま全力疾走でゴールに飛び込み、ぶっ倒れました。
勝った、といっても3人の中で勝ったというだけなんですけど(笑)
↓ラスト20m
↓ゴーーール!
ゴール後
起き上がれず
ゴール後、フィニッシュゲートをくぐった先は、
広い休息スペースがあり、
パスタ、唐揚げ、サンドイッチ、ライス、スープ、各種ドリンク、など
バイキング形式で食べ放題となっています。
アイアンマンのレースだと、このような形態のフィニッシュエリアはよくある風景です。
「食えるかっ!」
と、いつも思います。
レース直後の、まだ息も上がったままで、くたくたで
動くのも辛い状況で、食欲など、1mmも湧いてきません。
ましてや、ピザや揚げ物など、論外です。
が、西欧人はバクバク食べてます。
これも、アイアンマンでのあるある風景です。
やっぱ、これくらい胃が強くないと、
レースでも早く走れないのかもしれません。
私は、疲れすぎて、
四つん這いで硬直していました。
筋肉が固まって、動くことが困難になってました。
すると、ボランティアの女子、
地元の学生さんでしょうか。
かわいらしい娘さんが、
私のもとへ、唐揚げとサンドイッチの盛り合わせと
カップに注いだスポーツドリンクを運んできてくれました。
いつも感じますが、
台湾のレースはボランティアの温かさと優しさにいつも感動します。
でも・・・
食べれません!
スポーツドリンクなんて、当分、見たくもありません。
数分後、なんとか起き上がり、
人目に付かないところでそっと、ゴミ箱に入れました。
寒さが急に
せっかくボランティアさんが運んできてくれた食べ物を粗末にした罰なのか
急に寒気が襲ってきました。
台湾ですので気温は低くなかったのですが
濡れたウェアでしたし、レース後の疲れで
体がおかしくなっていたのかもしれません。
急いでフィニッシャーTシャツに着替え、
もらったバスタオルを体に巻いてうずくまっていると、
優しいボランティアさんが再び、
暖かい唐揚げとクラムチャウダーを持ってきてくれました。
が、しかし・・・
すいません!食えん!
手を付けないまま、数分後、そっとその場を立ち去りました。
ほんとすいません。
少し体も動くようになってきたので、
バイクと荷物を回収して、ホテルに戻りました。
ホテルに戻ると、ツアーの添乗員さんが順位を教えてくれました。
カテゴリ19位でした。
「でも、チバナさん、日本人ではトップですよ!」
と言ってフォローしてくれました。ありがとう。
私は全然知りませんでしたが、
昨年のこのレースは全体的にスローなリザルトだったようで、
「穴場」ということで、西欧人選手が多く参加していたみたいです。
やっぱ、アジアと欧米とではレベルの差があるな、改めて感じました。
アフターレース
バイクは、レース翌日にはシッピングサービスに預託しなければならないため、
疲れた体にむち打って、バラして梱包しました。
レース結果がアレだったので、
翌日のスロット発表やロールダウンにも用はなく、
市内食べ歩きをしていました。
ツアーの台湾人ガイドさんを誘って、
現地の人しか行かないような大衆食堂に連れて行ってもらいました。
滞在中、いくつかのお店に行きましたが、
どこも、やはり海産物がちょー旨い!
しかも、どこもそれほど高くないのが嬉しいです。
↓湯木さんたちは、飲んでばかりいました。
海外レースに行く際は、
現地ガイドさんを誘って食事に行くのがお勧めです。
観光客の少ない、ガイドブックにも載っていない美味しいお店に行けますよ。
なんなら、ガイドさんの食事代おごってあげても良いくらいです。
複数人で行けば、割り勘も少なくなりますので、
ガイドさんの分を支払ってもさほど痛くないし、
それ以上の満足を味わえます。
また行きたい、台湾
何度も言いますが、台湾のレースは、
運営がきちんとしていて、エイドは充実、ボランティアさんが温かく、
何度来ても感動します。
澎湖は離島のため、アクセスに少し苦労しますが、
行ってみればとても良いところでした。
70.3で訪れた墾丁も良いところでしたし、
また、是非行きたいと思っています。
今回は以上です!
はちゃの!